二次創作・フィクションにおける合意のない性交描写の分類

■前提:作品を描く上で外せない「性癖」について。
性癖が表れるのは自分がいつも描いてしまうシチュエーションだったり、読む時に探し求めるタイプの作品だったりする。

「合意の無い性交描写(強かん)」が好き!モブレが好き!と言うと同志に「自分も!」と言われればラッキー。
他には、否定はしないけど私は読まないです(^_^)と大人の対応をされたり、眉をひそめられたり、様々な反応があります。

眉をひそめられることがある性癖というのは、現実世界では犯罪だったり、マイノリティだったりするものが多いです。

それを好きだということ
=現実のその行為も肯定している
=実際に被害者のいる事象にも萌えている

こんなふうに連想されるために、それは起こるのかと思います。
ここでは「強かんという犯罪行為は決して許されないという認識は持ちつつ、フィクションに限ってのみ萌える」状態を前提として話を進めます。

また、
・自分の性癖に推しを当て嵌めて萌えているだけだ
・本当に推しのことが好きならそんなことは出来ないはずだ
・キャラ崩壊だ
という意見もあります。

そして、それが好きだからリョナや過剰に暴力的なものも好きだ、という偏った判断をされることもあります。
もちろんそうである場合もありますが、そうではない人間もいます。
それらを好まない側からすると、強かん描写との区別はつかないのも仕方ないことです。
(リョナや過剰な暴力描写を好むことを否定する趣旨はありません)


さて、フィクションの強かんのシチュエーションにも種類があります。

フィクションの強かん描写が好きな人間は他の性癖にも寛容もしくは大雑把である傾向が強いことから、それが好きだからアウトロー系は何でも好き!という誤解や、嬉々として過激な性癖ものを勧められるという悲しいすれ違いを経験したことがある人は少なくないのではないでしょうか。
しかし特定のタイプが行けるからと言って、全般が好きとは限りません。

ゾーニングのないところで、あまり大っぴらに話題にできるものでもないため、強かん描写が性癖な人について抱きがちなイメージと現実にも乖離があります。
なので「強かん描写のある作品が好き」な人に同CPでエンカウントした時に生じがちな誤解や先入観について知ってほしいと思い、少しまとめてみました。

以下は強かん描写のある作品について、自分が個人的に行っているタイプ(分類)分けです。

二次創作・フィクションにおける合意のない性交描写の分類

■フィクションの強かん描写の種類
①暴力陵辱型
 対象を傷つける・暴行する・尊厳を奪うなどの目的で、悪意の手段として用いられるもの。

②キュートアグレッション型
 対象のことが好きで仕方がない・執着などの理由から暴走して行われるもの。

 

a モブレと呼ばれるもの
 モブおじさんや自分などを攻めとして行うもの。

b カプ間のもの
 特定のカップリングの攻めが受けに対して行うもの。


これらの組み合わせで4種類となります。
細かく言えばもっとありますが、ざっくり大別しています。
(これらは自分が分類する際に勝手に呼んでいる呼称であり、誰かが定めたわけではありません)

※キュートアグレッションとは
可愛い物を見たらつねったり、食べたり、締め付けたりしたくなる衝動のこと、と言われています。
攻撃性を伴うこともあり、好きな相手に危害を加えたい、追い詰めたいといった感情が起きるケースも該当します。
わかりやすいので便宜的に使っています。

 

A.暴力凌辱型のモブレ
強かん描写があるというフレーズから一番にイメージされる型ではないでしょうか。
「フィクションで描かれる強かん描写=陵辱、暴行」という方程式の存在感が強いため連想されやすいものになります。
暴力の手段として、モブキャラが行います。
強かんが苦手、と言う方はこの型が苦手であることが多いように見受けられます。

B.キュートアグレッション型のモブレ
これは推しに対して恋愛感情や性欲などを抱いているモブキャラが、推しを手籠めにするもの。
目的が暴行や傷つけることではないため、A型に比べればマイルドな表現であることが多いです。
二次創作では自分、もしくは自分を投影したモブおじさんなどが攻めとなり「俺×〇〇」のように表現されることも。
マイルドと言ってもあくまで「A型に比べれば」の程度に留まります。

C.暴力凌辱型の推しカプ間もの
推しカプがいわゆるケンカップルであったり、激しく憎みあっている状況に見られるもの。
自分自身あまり見たことがない型にはなりますが、原作の既存キャラの攻め×受けの間で暴行が生じているケースです。

D.キュートアグレッション型のカプ間もの
相手を好きになりすぎて暴走して、媚薬を盛られて、嫉妬して、など無理矢理行為の動機が「対象への好意・執着」にあたるものをいいます。
暴行目的から一番遠いものになります。誤解が解けて和解したり故意ではなかったりと、攻めの感情に情状酌量の余地が認められるケースもあります。
(だからと言って許される行為ではありませんが)

 

■強かん・無理矢理描写が苦手であること
Aの暴力凌辱型のモブレがメイン性癖である人間からすると、Dのキュートアグレッション型のカプ間ものは「生ぬるい」「物足りない」と感じられるでしょう。
逆にD型がメイン性癖の場合、Aは可哀想で読めないなどの声も聞きます。

上記の4パターンの区別なく、強かんは苦手であると思っていた方が、何故か好きな書き手の作品は読めたし萌えた、という報告もあります。
(この場合苦手としていたのはAやCの暴力凌辱型であり、Dのキュートアグレッション型はむしろ好きだったことが判明したケースです)

書き手の立場で自分が書くのはAのみであっても、好んで読むのはA-Dすべてであったり、
Dしか書かないがむしろ読むのはAが好きであったりと、好みの組み合わせは多岐にわたります。

特定の強かん描写作品は好きであるのに好みのものを探す際に苦手を踏んでしまう…というのは、これらの分類を認識していないために起こる事象です。
自分の性癖にその片鱗が見られる場合は、一度自分がどの型を好むのか考えてみると読み手としても書き手としても時間が有意義になると考えられます。

ここでは少ししか触れませんが、上記4型それぞれの中にも細かい分類があり、それによって好みは分かれます。
例としては、Dのキュートアグレッション型カプものでは「受けがどの程度本気で拒否しているか」や「攻めが自分の加害性を自覚しているか」という点によって、読める・読めないが変わるという方のお話を聞いたことがあります。

そもそも暴力と凌辱は厳密には違いますが、ここでは大別のため同系統としてひとくくりにしています。

掘り下げていけばかなりの種類のパターンが想定されます。


■フィクションにおいて強かん描写を性癖とする場合に気をつけること

ゾーニング・レーティングをきちんとする。

自分の住処から出ない。
実在する性暴力に萌える人間は違う人種なのは大前提として、自分の性癖が有害かつセンシティブである自覚を持つことです。

実在する犯罪に対して萌える人間に世間が冷たいのは当然です。
受け入れろ!表現の自由!みたいな理屈は適用されません。

初心者であれば特に、自分にとってはディープな話をしている感覚がないからと、その手のものが得意ではない相手にイキって披露してしまう場面も見てきました。

ノンフィクションを好むような倫理観の人間と同類だと捉えられても仕方のない性癖ではありますが、それだけで判断されたくないのであれば、日ごろの行いをちゃんとすること。
ルールに則ってゾーニング・レーティングをしていると、誰が見ても明らかにしておくことです。
ブロックされてしまうと、ラブラブハッピーな作風の方の作品が読めなくなったりします。悲しいことです。

勿論、そういった作品を書いている、好んで読んでいるという事実のみで人間性や性格まで悪い印象を持たれることが避けられないこともあります。
そこのみで判断する人に出会ってしまったら、それは仕方がないことです。
相手のためにも諦めて、距離を取ること。


有意義な二次創作ライフを送るために、できることはしていきましょう。